書籍紹介「さよなら噓つき人魚姫/汐見夏衛」

書名:さよなら噓つき人魚姫

著者:汐見夏衛

出版社:一迅社

発行日:05/02/2021

頁数:349頁

分類:青春/恋愛

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概要

本作は「嘘」と「本心」をテーマとした青春恋愛小説。
無口で他人と関わりをもたないようにしてきた少年、羽澄想(はすみ そう)が明るいながらもどこか影のある少女綾瀬水月(あやせ みづき)と出会ったことをきっかけに、過去の出来事と向き合っていく物語です。

「彼女はなぜ嘘をつくのか?」日常の会話や関係性に違和感を感じながらもお互いに触れない疑問が少しずつ浮かび上がる。

”人魚姫”というタイトルの意味が、終盤に向かって明らかになっていく。
二人の主人公達の切なさと優しさが静かに心に残る作品。

感想

この作品は変えられない現実と嘘を対比したような表現がされています。思春期の揺れる感情と人との距離感が比例して動くように描かれていると思います。優しさから生まれた嘘が少しずつ心をすれ違わせていく過程が丁寧で、読んでいる間胸が落ち着かなかったです。静かに進んでいく物語ですが、主人公達の会話の間や動きに感情が詰まっているように感じました。

※以降あらすじ含む(クリックで表示)

羽澄と綾瀬は次第に距離を縮めていきますが、その関係は嘘を前提に成り立っていました。やがて嘘が崩れて過去が明らかになった時も変わらない相手を想う気持ちが、この二人の関係性の良さを感じました。やはり優しいです。すべてを明かされたあとに残るのは、後悔ではなく確かに存在していた想いでした。特に印象に残ったのは二人で海に飛び込んた時、両方相手を生かそうと必死になっていた場面です。生死のどちらが正解か分からない高校生の拙さが感じられました。本作は嘘の優しさと残酷さ、理想と現実の両面を静かに突き付けてくるような物語でした。

こんな人におすすめ

現実的で分かりやすいストーリーのため、普段本を読まない人も読みやすいと思います。
どんな現実にも立ち向かう主人公達の姿勢を、同じくらいの年の方に見てほしいです。心の支えになるような一冊です。青春小説が好きな方はいつもと違う刺激を受けれるのではないでしょうか。

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